ガレ 花器

Web Museum 『ガレ 花器(1900年頃)』
形は違うけれど、「チューリップ」をモチーフにしている作品なのは一目瞭然。
チューリップはオスマン帝国を経て、ヨーロッパに伝えられました。
形もかわいらしく、意匠化しやすかったのでしょう。
トルコ人たちは衣服、絵画、タイルなどにチューリップを文様化して好んで用いました。
そしてヨーロッパの植物愛好家たちはチューリップを競って手に入れようとし、
後に『チューリップ・バブル』と呼ばれることになった大ブームが
17世紀 オランダでありました。
江戸時代の日本では朝顔がブームになりましたが、突然変異種や品種改良種の朝顔を
珍重したのと通じるものがあるかもしれません。
投機的なお金が入らなければ、日本と同じく観賞用植物として広く好まれた・・・
だけで済んでいたかもしれませんね。
そんな様々な色や模様のチューリップの絵を、植物画家たちは沢山残しています。
この作品は、突然変異種の、斑入りのチューリップをモチーフにしています。
地模様に合わせた丁寧なグラヴィールで、チューリップの花びらを見事に表現しています。
同意匠の作品がナンシー派美術館に所蔵されていますが、
同意匠作品はもともとコルバン氏の所蔵品。
ですから非常に珍しい作品であることは間違いないでしょう。
(*コルバン氏とは、ナンシー派の芸術家たちのパトロンであり、
美術館もコルバン氏の所有地内にあります。)



カテゴリ : Web Museum (アール・ヌーヴォー)