日本の現代ガラス作家 (6)
以前 彫刻家の方とお話する機会がありました。「最近は、自分のことを自ら 『芸術家』 と
いう人もいますが、
私の職業は彫刻を彫ることなので
私は 『彫刻家』 と名乗っています。
『芸術家』 は自分で名乗るものではなく
他人からの評価で 『芸術家』 と
呼ばれることだと思います。」・・・・
また別の彫刻家の方と、
「美術とはなんぞや?」
という話で盛り上がっていた時、その方は
「美術とは、『空間』 と 『時間』 です。」
とおっしゃいました。
両方とも なかなかに含蓄のある言葉で
しばらく 「ふむ・・・」 と考え込んでしまいました。
言葉というのは むずかしい。
紹介のされ方によって イメージはがらりと変わるし
捉えられかたも異なります。
でも その作品が 「芸術」 であるかどうかは
おっしゃるように自らの評価ではなく、
他人の評価なんですよね。
以前 「美術って?」 というブログを書きましたが
西洋でいう美術の「建築」、「絵画」、「彫刻」。
すべて 『空間』 がキーワードになってきますが
それに加えて 「時間」、
つまり 「時代の反映」 でもあるのです。
ミニマリズムのような建築が主流の現在
壁面装飾である 「絵画」 は
金彩の重厚な額に入ったオールドマスターよりも
いっそ額のない コンテンポラリーのほうが合いますし
空間装飾である彫刻も、ブロンズや木彫の重厚なものより
コンテンポラリー絵画の延長であるオブジェのほうが
しっくりきます。
急速に 「アート」 と 「インテリア」 の
境目がぼやけてきました。
その中で 「ガラス」 という素材は
時代を反映するテクスチュアになりえないでしょうか。
「造形芸術の素材の一つとしてのガラス」。
そういった認識が早く定着するよう
我々も頑張ってご紹介していかなければいけませんね。
また ガラスをテーマにしていらっしゃる作家さんたちにも
同じような認識を持った人が増えてくると
楽しいな・・・と思います。