とーきち パリ日記 2009.10 (11)
日本美術とアール・ヌーヴォーの関連についてせっかくですから、ビングの名前が出たのでもう少し追加を。
ビングはフランス、パリで日本美術を扱う美術商で、そのお店の名前が
『Maison de l'Art Nouveau』。
アール・ヌーヴォーという言葉は、ここが発祥です。
そのお店に出入りしていたのが、パリで美術商を営む日本人 林忠正。
数多くの浮世絵や日本美術をフランスに紹介しました。
ですからフランスには、「フランス人の美意識」のもと 収集された日本美術が
沢山あり、その一つに浮世絵があった、というわけ。
ビングのお店のデザインをしたのが、ヴェヴェール。
ヴェヴェールは宝石商でしたが、熱烈な浮世絵ファンで、
少しでも浮世絵をかじった人なら、一度は耳にした名前だと思います。
ヴェヴェール・コレクションといえば、それはもう有名なコレクションです。
というのも、東京国立博物館に収蔵されている浮世絵は、
松方幸次郎がヴェヴェール・コレクションの一部を買い取ったものなのです。
もちろん宝石商としてのヴェヴェールも有名で、
宝石のヴェヴェール・コレクションもとても素晴らしいですよ。
日本美術が世界に与えた影響は、はかりしれません。
もしタイムトラベルが可能になったなら、江戸時代にいってみたいな。
余談ですが、estampes japonaises で出てきた1902年のオークションは、
林忠正コレクションのオークションです。
今でも、ごく稀に、林忠正やヴェヴェールのコレクション印が押された
浮世絵が出てくることがあります
