Web Museum 『ガレ 海洋文花器(1881年)』ガレは1880年12月から翌1881年1月にかけての
“Exposition de NICE” に陶器とガラス作品を出品しました。
フランス北部ナンシー生まれのガレが、
ニースという南仏の風景に触発されて制作したであろうこの作品は、
1878年に発表された月光色ガラスの発展形のひとつといえるでしょう。
サファイア・ブルーとは異なる、コバルトによって発色させた
抜けるような明るい青色はニースの青い海と青い空(コートダジュール!)、
異色溶かし込みによって入った白い模様で白い砂浜を表現しています。
また南洋の色とりどりの魚や海洋植物が、ユーモアたっぷりに描かれていて
晩年のガレの代表作のひとつである海洋シリーズとは一味違った、
初期の楽しい作品です。
エナメル彩ならではの色彩の多様さも楽しめます。
ニースを訪れたことはないけれど、
青い空、青い海、白い砂浜・・・ 想像がふくらみます。

おまけのクラゲ。
月光色ガラス(clair de lune)は、ガレ オリジナルの色です。
1878年 パリ万博に出品(ガラス・陶器部門で銅メダル、庭園用陶器で銀メダル受賞)、
従来にない青味がかった色調の「月光色」ガラスなどで大評判になりました。
月光色ガラスは、カリを基本成分とし、微量の酸化鉄で美しいサファイア色に着色されます。
その後、ドイツでは「モントシャイン mondschein」、
イギリスでは「ムーンライト・グラス moonlight glass」の名で制作されました。
「月光」。
まさにそのとおり! ネーミングも素晴らしいですね。